国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が
今年6月、「持続可能な開発報告書2023」を刊行し
SDGs達成の進捗を測った「SDGs指標」で日本は163カ国中21位でした。
「そんなに悪くないんじゃない?」なんて思う人もいるかもしれませんが
日本は2019年の15位から年々ランクを落とし
17あるゴールのうち、特に目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」
12の「つくる責任 つかう責任」などが遅れていると指摘されています。
別のデータに目を移すと、世界経済フォーラムが発表した
「ジェンダー・ギャップ指数2022」で日本は146カ国中116位。
また、UNEP国連環境計画による「シングルユースプラスチック」では
国民一人あたりのプラスチックごみの廃棄量が
日本は世界で2番目に多いことがわかっています。
後者のどちらのランクも、個人的にはそれほど驚きません。
周りの女性たちを見ると、みんないくつもの役割を一人で抱え込まざるを得ず
社会進出や自己実現と、家庭・子育てとの両立は難しいとつくづく感じます。
プラごみに関しては、例えばエコバッグは浸透してきましたが、
スーパーで購入したお肉なんかを入れるうす〜い半透明の小袋は使い放題だし
(使いやすいように一枚ずつ折りたたまれているお店も!)
ネットショッピングをすれば、商品一つひとつの過剰包装が気になるところ。
自宅で分別して出すごみは、どうしてもプラごみの回収袋が一番大きくなってしまいます。
こうした世界から遅れをとっている社会的課題は
国民一人ひとりの意識と行動が大きくかかわるもののような気がします。
前置きが長くなりましたが……
意識の底上げには、やはり教育。
実は日本は、SDGsが策定される10年以上前から
「持続可能な社会を実現するためには教育が重要だ」と世界に訴えていました。
2002年に行われた「持続可能な開発に関する世界サミット」で日本が提案した
「国連持続可能な開発のための教育の10年」。
ここで提唱されたのが「ESD(Education for Sustainable Development)」で
社会的課題を自分ごととし、解決に向けて行動できる人材を育もうというものでした。
さらに政府はこの内容を発展させた
「ESD for 2030」(2030はSDGs達成の目標年)を2019年に発表し
国際的に推進すべき枠組みとして国連総会で承認されています。
こうした流れを受け、
2020〜2022年にかけて実施された新学習指導要領にESDが組み込まれ
日本の教育方針として示されたのですが
2021年の環境省の調査では、教員の半数以上が
ESDについて把握していないということがわかったそうです。
一方、教育熱心な(?)保護者からは
「ESDで学力が伸びるのか?」なんて不安の声も聞こえてくるとか。
日本のリーダーたちが唱える政策と現場とのギャップを
感じずにはいられません。
そもそもESDで育むのは、世界的な課題に向き合い解決するための
思考力や判断力、コミュニケーション力、能動性など。
一夜漬けで身に付くものではなく
従来の知識詰め込み型の教育を脱した手法が必要なのでしょう。
それでも日本では、ユネスコスクールをはじめ
ESDを積極的に実践する学校が少しずつ増えています。
その取り組みは、日本持続発展教育(ESD)推進フォーラムによる
ESD大賞の実践集などでも知ることができます。
SDGsの面でも世界をリードする先進国となるため
真の学力を育める学び場が国内で増えるといいなあと願います。
(スタッフT)