4月5日の朝日新聞によると、2021年度の東大入試の結果、合格者に占める女子の割合は過去最高の21.1%だったとのこと。推薦入試の出願条件を緩めて推薦枠を増やしたことや、男女共学の公立高校からの合格者が増えたことなどが要因として挙げられています。東大生は伝統的に中高一貫の私立男子校出身者が大勢を占めるなか、今回はコロナ禍で高校の部活や行事が中止となったため、それらに熱心な学校が多い公立校で勉強時間が増えたのだろうと見る向きもあるそうです。
それにしても。日本の大学全体における学部生の女子占有率が45.4%であるのに対して、東大では19.5%(2020年11月)にすぎないというのはいかにもお粗末。女子高校生向けのPR策を強化するなど東大も努力はしているようですが、目標の「2020年までに女子比率3割」には遠く及びませんでした。世界のエリート大学は男女半々なのに、と嘆く教育関係者も多くいます。
ジェンダーと政治を専門とする上智大学の三浦まり教授もその一人。1年前の「朝日新聞EduA」(3月5日)で三浦教授は、「女の子が東大を出ても、いわゆる『女性の幸せ』につながらないと思わせる社会構造がある」「男性が女性よりも優位に立たないと居心地の悪さを感じる男権主義的な価値観を変える必要がある」と指摘しています。また、「日本では『女子は数学や物理が苦手』というステレオタイプが浸透していることもあり、理系学部の女性が少ない」とも。
世界経済フォーラムが3月31日に発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート(世界男女格差指数)2021」によると、日本は総合順位で156カ国中120位という先進国中の最低水準を維持(前回は121位)。分野・項目別では、「政治参加」147位、「国会議員の女性比率」140位、「経済」117位、「管理職の女性比率」139位、そして「教育」でさえ92位という有り様でした。
ランキングを報じた日本経済新聞の記者は、2013年に「女性活躍」を成長戦略の柱に掲げた安倍前首相の政策を挙げて、「この8年間の取り組みは『女性不活躍政策』だったのか」と指弾。当時の日本の総合順位は今よりマシな105位(136カ国中)でした。政治経済での不均衡を正すには、まず教育から。大学の役割が問われています。